お口の清潔を保とうとするとき、やっかいなのがバイオフィルムです。
歯みがきを油断していると悪玉菌が作り出した丈夫なバリアが悪玉菌を包み込んで守ってしまいます。しかもベッタリと歯に引っ付くので、取り除くのは容易ではありません。
毎日の丁寧なお掃除が必要です!
<バイオフィルムとは?>
細菌が作るベタベタしてしつこく歯につく膜のことです。
ミュータンス菌などの悪玉菌が作り出したプラークが熟成すると、とても丈夫な膜になるのです。プラークが溜まってから24時間ほどで熟成し、変化します。その内部は多種多様な常在菌だけでなく、カビや、ともすると常在ウイルスまでひしめき合っていて、まるで微生物の貯蔵庫です。
バイオフィルムのなかは、微生物にとって至れり尽くせりの環境です。たとえば、口のなかにいる細菌は、空気が苦手なタイプが多く、空気に触れると弱ってくれるのですが、バイオフィルムのなかにいれば、空気に触れずに過ごすことができます。細菌たちはその分元気でどんどん増殖してしまいます。
食べかすの豊富な歯に定着しているのですから栄養はタップリ。水分もタップリと供給されます。そのくせバイオフィルムは、唾液の抗菌作用はもちろん、殺菌剤の入ったうがい薬さえブロックし、届きにくくしてしまうのです。
実はバイオフィルムというのは、口のなかだけにできるものではありません。水があってそこに細菌がいれば、どこにでもバイオフィルムはできます。たとえば、台所のシンクやパイプ。こまめに掃除しないと、あっという間にヌルヌルした膜ができますよね。口のなかも同じです。唾液があって、細菌が沢山いて、しかも温かいのでなおさらです。
台所のヌルヌル汚れはしつこくて、取り除こうと思えば、手につくとヒリヒリしてしまうほど強力な洗剤をかけてしばらくのあいだ放置するか、ゴシゴシと強くこすらなければなりません。
口のなかのバイオフィルムも取り除くのはたいへんです。口のなかに強力洗剤を流し込むわけにはいきませんから、歯ブラシでていねいにこすり取るのですが、バイオフィルムともなると、プラークのときのようにはうまくきれいに取れないのです。
私たちが繰り返し、こまめに歯みがきをしましょう。毎日少なくとも1回は、丁寧にしっかりとプラークを落としましょう。とお伝えするのはそのためです。
もし、しつこいバイオフィルムがついてしまっているのであれば、歯科医院のプロフェッショナルケアで徹底的に取り除いてもらうとよいでしょう。普段しっかりと磨いているつもりでも、みがき残していることは誰にでもあります。そこで、定期的に歯科医院のプロフェッショナルケアを受けて、口のなかの常在菌や、常在ウイルスに好き放題させないように、上手に共存していくことをおすすめ致します。